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たましふる大峯~神崎士郎 なっしょのないしょ~

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一年の半分を奈良の世界遺産大峯山頂宿坊で暮らす写真家神崎士郎が綴る日々のあれこれ。見たこと見ないこと……。

カテゴリ:未分類( 14 )

今回もたくさんの方々に観て頂き、びっくりするような心通わせる出会いにも恵まれて、幸福な時間が過ぎてゆこうとしています。
一点の写真の前でじっと動かない人、仕事の前に心落ち着かせるためにランチがてら寄って下さった方、奈良の山から見える富士山のシルエットに驚く顔、壁に描いた「大峯漫画」に笑う声、オリジナルガチャポンマシンに興奮する大人たち、初対面なのに不思議な縁を感じた出会い、写真家の方々との心踊る真摯な会話…マスターとスタッフの方たちのお客さんそれぞれの時間を楽しめるようにされた配慮と身も心も喜ぶ美味しいランチに包まれて、かけがえのない時を過ごさせてもらっています。心が動いたら、ちょっと遊びにいらしてみませんか。
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by tamashifull | 2012-11-03 13:41
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神崎士郎写真空間
OMINE2012
斗藪と参籠
tosou to sanrou
がいよいよ始まります。
会場は、浜野西にあるカフェZのカフェスペースと併設のリニュアールしたばかりのギャラリー。入り口近くでぐるっと見廻すと、カーブした壁面と斜行する縁のラインが美しい。
今回、一昨年に続いて二度めの展示。前回の、修験者と大峯・人間と自然の間にあるもの・つなぐもの、を考えた展示から、山を歩き山に籠ることによって、修験者・人間の肉眼・心象に映るままの光景を見て感じてもらう展示となりました。作品世界に流れる水の時間を体感して下さい。
写真に加えて「大峯漫画」なるものを壁に描いているので楽しんで頂けると幸いです。また27日(土)午後7時からスライド上映の「幻燈夜噺」と奈良名物の茶粥を楽しんで頂くギャラリートークも催します。御参加お待ちしています。
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by tamashifull | 2012-10-24 18:39
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むこうくんは毎年、夏の終わり頃、登って来る、いつも夜が下りてくる手前の刻限に。落ち着いて見えるのにあわてている、そんな風だ。
出会ったのは岩の上、だったような気がする。その時は彼は山の他の宿坊に泊まっていた。夕焼けの時間に何となく話しかけたのだ…いや、違う。山の老人に紹介されたのだったか…。たそかれ時のように記憶はあいまいだ。来年会ったら、確認してみよう。彼はきっと覚えてくれているから。
彼は大峯奧駈道を何度かに分けて所々歩いていて 、その話から察する限りは、タフで、安定した物の捉え方を備えているように思える。
夜の山中の山小屋で剣法の修行者と出会したり、里で不思議な現象を体感しても、見える世界見えない世界を同等の視点で自然に認識しているようなところがある。安心感を与えてくれるというか。
なんかぼくとは縁があったのか、当時の彼はO県O市のO大に通っていた。現在は農業を営んでいて、地質学を学んだ。それは土壌研究の為というのではなく、地学には天文学が含まれていると思って、その学部を選んだそうな。でも残念ながら宛ははずれてしまったのだ。そういうわけで彼は鉱物には詳しい。
この大峯山系は歴史的に見て鉱物資源が豊富で、金・銀・磁鉄鋼・水銀・水晶等の鉱床が在ったと言われている。たまたまざくろ石の微粒の欠片をぼくが持っていたので、話は石から宮澤賢治へとおよんだ。賢治の言葉には鉱物の名前が時空を越えて至るところに散りばめられているから。そう言えば賢治は「石っこ賢さん」と呼ばれる位、鉱物好きだったのだ。…うん、むこうくんの中にはちょっぴり宮澤賢治が入っているな、と気づいたね。
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by tamashifull | 2012-09-19 16:39
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ぶぉーーーっ……。
大気の底から空気を持ち上げるように轟き渡る音。
宿坊の窓から覗いてみると、ひとりの山伏が法螺貝を吹きながら坂道をコロコロと下って来る。この辺では見かけない白と青の市松模様の装束姿。東北の羽黒修験では確かあんなチェックの衣着るよなあ…14、5年前に九州でも見たことあるけど…。
間も無く、音が止み、こちら側の石段を上って来る気配。玄関先に顔を出してみる。待つ…あっ、チェックがやって来た。止まった。
「お久し振りですっ」「えっ…!宮崎くんっ…うっわーっ宮崎くん」思わずハグ。
宮崎くんは、16年前、喜蔵院の当番の年、ここの大峯山寺で代僧として2シーズン務めてくれた。海千山千の大先輩たちに囲まれて頑張った。素朴な純粋さで闘っていた、ようにぼくには見えた。
ある時、彼は、休日を終えて山に帰って来る途中、雨に降られた。でも、カッパを持っていなかった。そして、やっと当宿坊の玄関に辿り着き、「神崎さーん!ただいまーっ!」との力いっぱいの声に出てみると、うわっ!!そこには、黒いゴミ袋から両手両足が生えたモノノケ小僧が力んだ笑みで立っていた。
その同じ玄関で再会した宮崎くんは、真っ黒なビニール袋から白青チェックの山伏装束に成長していたんだ。今回、彼は、ふもとの洞川で開催の修験学会に参加するために福岡からやって来た。九州北部には英彦山・求菩提山・宝満山(ひこさん・くぼてさん・ほうまんざん)等の修験の山が在り、対馬(つしま)・国東(くにさき)半島も含めて修験道の源流につながる場所かもしれない。
本山修験宗清龍院住職宮崎くんは、来た時のように法螺貝の音高らかに九州の地に向かって下って行った。山並みの上に海の青が見えた。

さて近付いて参りました『音楽幻燈会』。きょうは内容について簡単に紹介。
前半「アナクロとモクレン」は、ピアノ演奏と朗読とスライド上映のコラボに乗せて、ネコに化けたナガレボシと声無き声で詩を紡ぐ少女モクレンの交感の世界が、森羅万象とつながりながら広がります。
後半は、ピアノ演奏に続いて、ふたりの朗読者のカノンによる「あめつちのうた」。平安時代に生まれた、いろは歌の一語一語からイメージした言葉と写真で織り成す音楽詩を新たな演出でお送りします。
お問合わせ・チケット予約はTEL090‐5695‐7840(神崎)までご連絡下さい。間に合わない方には、当日券も多少用意しております。
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by tamashifull | 2012-09-14 11:54
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ぶぉーーーっ……。
大気の底から空気を持ち上げるように轟き渡る音。
宿坊の窓から覗いてみると、ひとりの山伏が法螺貝を吹きながら坂道をコロコロと下って来る。この辺では見かけない白と黒の市松模様の装束姿。東北の羽黒修験では確かあんなチェックの衣着るよなあ…14、5年前に九州でも見たことあるけど…。
間も無く、音が止み、こちら側の石段を上って来る気配。玄関先に顔を出してみる。待つ…あっ、チェックがやって来た。止まった。
「お久し振りですっ」「えっ…!宮崎くんっ…うっわーっ宮崎くん」思わずハグ。
宮崎くんは、16年前、喜蔵院の当番の年、ここの大峯山寺で代僧として2シーズン務めてくれた。海千山千の大先輩たちに囲まれて頑張った。素朴な純粋さで闘っていた、ようにぼくには見えた。
ある時、彼は、休日を終えて山に帰って来る途中、雨に降られた。でも、カッパを持っていなかった。そして、やっと当宿坊の玄関に辿り着き、「神崎さーん!ただいまーっ!」との力いっぱいの声に出てみると、うわっ!!そこには、黒いゴミ袋から両手両足が生えたモノノケ小僧が力んだ笑みで立っていた。
その同じ玄関で再会した宮崎くんは、真っ黒なビニール袋から白黒チェックの山伏装束に成長していたんだ。今回、彼は、ふもとの洞川で開催の修験学会に参加するために福岡からやって来た。九州北部には英彦山・求菩提山・宝満山(ひこさん・くぼてさん・ほうまんさん)等の修験の山が在り、対馬(つしま)・国東(くにさき)半島も含めて修験道の源流につながる場所かもしれない。
本山修験宗清龍院住職宮崎くんは、来た時のように法螺貝の音高らかに九州の地に向かって下って行った。山並みの上に海の青が見えた。

さて近付いて参りました『音楽幻燈会』。きょうは内容について簡単に紹介。
前半「アナクロとモクレン」は、ピアノ演奏と朗読とスライド上映のコラボに乗せて、ネコに化けたナガレボシと声無き声で詩を紡ぐ少女モクレンの交感の世界が、森羅万象とつながりながら広がります。
後半は、ピアノ演奏に続いて、ふたりの朗読者のカノンによる「あめつちのうた」。平安時代に生まれた、いろは歌の一語一語からイメージした言葉と写真で織り成す音楽詩を新たな演出でお送りします。
お問合わせ・チケット予約はTEL090‐5695‐7840(神崎)までご連絡下さい。間に合わない方には、当日券も多少用意しております。
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by tamashifull | 2012-09-13 00:27
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トリカブトの花が咲き始めてからひと月ほど経った。
今朝5時過ぎ、薄曇りの空の下、フシギくんは柏木に向かって発って行った。4、5時間の山歩きだ。
ここは大峯山宿坊喜蔵院。ぼくはその支配人。お寺の専門用語で「納所(なっしょ)」と呼ばれることが多い。
フシギくんは、開山期の五月から九月の間、毎月泊まりに来る。そして、険しい大峰山系の道を修行として歩いて、様々な場所へ行く。鈴懸(スズカケ)という山伏スタイルで。
数年前、彼が初めて大峯山へ登拝して来た時は、スーツに革靴、手には薄手の黒いカバンという出で立ちだった。帳場の上からその姿を目にしたぼくは、いささか戸惑ってしまった。確かに、白衣や山伏姿、登山服の人々で賑わう宿坊の中で、彼の存在は少し浮いていたかもしれない。
今思えば、それは彼なりの大峯山へ参拝するための正装だったのではという気がする。フシギくんは、初登拝を前に修験道や寺院・組織について綿密に調べた上で、自分で選択して言わば確信犯的に我が喜蔵院に入って来たのだから。
数年を経た今、そんな彼だからこそ修験道界の色んな軋轢を感じながらも真摯に前向きに楽しく行者道を歩いているように見える。でも、皆さんは決してフシギくんの真似をしてスーツで登山はしないように、非常にキケンですから。
お昼過ぎ、無事に柏木下りを終えたとの彼からの連絡があった。

さて、ここで「音楽幻燈会」のお知らせです。
スライド上映×ピアノ×朗読のコラボレーション『音楽幻燈会 あめつちのうた Visual Live』
スライド写真と言葉:神崎士郎
ピアノ:七ツ谷ゆみ
朗読:金盛千裕・久保田玲奈
演目:「アナクロとモクレン』休憩「あめつちのうた』
日時:9月16日(日)15:00
場所:遊美工房・岡山県倉敷市玉島中央町1丁目12‐30・TEL.090‐5378‐6675
料金:2,500円(当日3,000円)ワンドリンク付
*席に限りがございますのでご予約下さい。*お問合せ・チケット予約TEL090‐5695‐7840(神崎)
「数年振りの音楽幻燈会です。詩(うた)と物語とイメージがピアノと朗読の奏でであなたを新たな世界へ誘います。ぜひ遊びにいらして下さい。お待ちしています。」
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by tamashifull | 2012-09-10 00:05
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吊り橋の上から、たった今下りて来たばかりの山上ヶ岳の方を仰ぎ見る。きょうはひっさしぶりの日本晴れ。調子良く下りすぎて膝の辺りが少し痛い。
登山口の女人結界門を抜けてすぐ、石像が立ち並ぶ前を通り、森の中へ入り、山上川に沿って続く自然研究路を歩いて来た。至るところで山からの湧き水が流れ、苔むした岩根、濡れた石畳…と涼やかな木漏れ陽の道を進む。
ひとひら、ふたひら…赤ちゃんの掌ほどの大きさの蝶が何頭も川から森へと行ったり来たりしながら石畳を浸す水を吸っている。さっき見つけたルリコガネの風合いにも似た、光沢のある玉虫色の羽根が陽光に紛れて群青色の空に溶け込みながら飛び交っている。
どっどっどっ…一定のリズムを刻む水音が近くなる。かじかの滝だ。言われは極めて原始的な淡水魚の名から来ている。現在も棲息しているのだろうか。小さな滝だが滝壺のきわに石灰質の岩床が拡がり格好の休み場となっている。
滑りやすい岩場の道を抜け、小橋を渡り、林間の小道を出ると、この吊り橋のたもとである。ここにはコーモリの窟(いわや)とトーローの窟が在る。前者は「蝙蝠」の巣になっていること、そして行者様がお「籠り」になった場所ということから、また後者は山伏のうしろ姿がカマキリ(古い言い方で螳螂=とうろう)に似ていることからその修行(胎内くぐり)する場所として名付けられた。トーローの窟の中は入口から出口へと細く曲がりくねっており、手元の灯りを消すとぬばたまの闇である。
山上川を離れて温泉街の方へと向かう。表に薪を積み、大きな樹に抱かれた山荘風の小屋が在ることに気付く。今まで何度も通っている道なのに意識したことが無かった。季節の折々に隠れ人が暮らしている風である。前の原っぱにポツンと離れて錆びた物干しのようなものが見えるのがかわいい。
道を逸れて空地を横切ると角っこにこんもりとお稲荷さんがある。その時、前方から5、6人の行列がするするとこちらへやって来るのと出会う。その人たちはお稲荷さんの杜へと吸い込まれて行く。と、中のひとりの女性がぼくに向かってお辞儀をされた。ぼくも釣られてペコリと返し、近付いて見るとよく知っている神橋(かんばし)さんの奥さんだった。最後尾に御主人もいらっしゃって言葉を交わした。神橋さんは十数年前まで登山口から十分程上ったところの一の瀬で茶店を開かれていた。また山上へ運ぶ荷物の世話をされていた関係もあり面識があったのだ。きょうは月に一度の祭礼の日で、表通りに面した稲荷神社の横で町内の有志の方々が出店をされていると言われる。ぼくは何だか見知らぬ土地に迷いこんだような気持ちで細い路地を抜けて表へ出た。
なるほど道沿いに白テントが張られて在り、覗いてみると顔見知りの人たちがたこ焼きやら焼き鳥、アイスコーヒーを造って販売されていた。西崎さんは先年まで山上の龍泉寺で務めていらっしゃって、いつもお世話になってばかりだった。赤井さんは長らく洞川の中学校の校長先生を勤められて、現在は稲村ヶ岳の山小屋を守りされている。たこ焼きを注文して談笑していたら「シローサーン」との声と供に奥さんもいらっしゃった。赤井家にも御世話をかけっぱなしである。「山」という字は、左右末広がりに伸ばしていったら、「人」という字になる。想えば、大峯山を通してこれまでかけがえのない縁をどれ程頂いて来たことだろう。ありがたいと思うばかりである。
お赤飯のオムスビやジャガイモをお弁当にと渡され、赤井さんがバス停まで軽トラで送って下さった。深い森の奥から染み出たばかりのとろりとした水が小石の上を滑り下りるように戻ってゆくトラックにペコリとお辞儀をしたぼくは、ふと違和感を覚えた。手にしていた筈のおにぎりの包みが無い…。あれ?確かに持って助手席に乗り込んだよね。指先にその感触が残っているような感じがある。あれれ?おかしいなあ?待合室も見る。表のベンチも。無い!?
名水豆腐を買い求めるために旅館街まで少し戻る間も身の回りを確認したが見当たらない。バスに乗ってからも改めて見たがやはり無い。まるでキツネにつままれたような…えっ!そうかそうだったのか。お稲荷さんのお祭りだものね、あの人たちはみんな…。そう考えると、あの行列に遭遇した時からずっと不思議な胸に染みるような明るさの中にいたのだった。
[後日譚]
その日の売上は福島県南相馬で被災された人々に義援金として届けられた、と新聞記事で受け渡しの様子が写真と供に報じられていた。また、ひと月位して赤井さんにオムスビのことをたずねてみるときれいに「忘れていらっしゃいましたよ」とのこと。…なんだ、化かされていたかったなあ、とちょっとがっかり。でも、人類も遥か遥か昔には自分がナニモノだったかなんてわからないから、おキツネさんだったこともあるかもしれないしね。だから洞川のような山里の人々には記憶の底に眠るその正体が何かの拍子に仄かに香り立つことがあるような気もするんだ。
〓大峯山上豆知識「女人結界門」大峯山上ヶ岳では一千年以上前からの女人禁制という宗教的伝統を守り存続維持している。そのため山上ヶ岳周辺には「是より女人の入山を禁ず」という門が立てられて在る。 現在では天川村洞川の清浄大橋登山口、レンゲ辻、五番関、そして奥駈道中の阿弥陀ケ森の 4ヶ所である。そこから先は女性の方々には遠慮して頂いている。でも時々男性連れで結界内をあるいていらっしゃることもあり、そういう際には速やかに下りてくださるようにひたすら説明してお願いするだけであるが。これは差別などでは決して無く、歴史という永い時間の中で培われて来た「自然=人間」へのある信仰心(精神)に拠るところであると御理解してもらえたらと考える。このことについてはまた折に触れて話すことになると思うけどね。
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by tamashifull | 2011-11-30 18:29
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秋晴れのある日のこと、岡山表町の和紙(ワガミ)屋梅田さんに久し振りに柿渋を買いに行ったら、頭の天辺に筆先が生えているダルマさんが現れて、ぼくはあっという間に通りを渡って斜め向かいのカフェまで転がされて行ってしまった。
そこは「オイリア」というお店で、高い天井に白い壁が映える細長い空間に大小とりどりの深い緑の瓶がたくさん並んでいる。それらは全部オリーブオイルで、イタリアのアーリア州から直輸入しているということ。
店主は女性で、その土地とオリーブに魅せられてこのカフェをオープンされたとか。ダルマさんの計らいでここで写真展をさせて頂くことになった。…白い壁を空色で染めよう。
「空へ歩く」「空に住む」「空から流れる」「空のありか」…空につながる写真のそれぞれから空の物語をイメージしてもらえたらと想いながら作品をセレクションして並べてみると、この白い壁に昔から掛かっていたかのようにしっくりと馴染んだ。自分でも新たに展示したような気がしない、不思議な気持ちに包まれて眺めた。まるでお客さんになった気分だった。
オイリアにはオリーブオイルだけではなく、天然酵母パン、生産者直通の野菜、やさしいスイーツ、はちみつ、高梁紅茶等も楽しそうに並んでいる。それになんといってもオリーブオイルのソフトクリームがぼくは大好物。またワインを始めにアルコール類も置いていて、仕事帰りや休日の午後に寛ぐ男性もよく見かける。女性客も二人連れ以上はもちろんだが一人客も多い。かわいいテーブル席にカウンターでの会話も心地好い。通りがかりにちょっと覗いてみたくなるね。あっ、ダルマさんも時々コロンコロンしてるかも。
〓岡山市北区表町1丁目11−1中之町第1ビル
Oigliaオイリア
TEL(086)234-5232
お休みは月曜日。
朝10時から夜8時まで開いてます。
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by tamashifull | 2011-11-26 13:00
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台風15号で危ぶまれた今年の戸閉式も無事終えることができ、ほっとしたのも束の間、慌ただしくも五ヶ月分の後片付けを済ませ、下山の朝を迎えた。
午前5時30分、大峯山2011年最後の夜が明ける。
とうちゃん、中村さん、道仁さん、中野さん、智教さん、皆様のお陰で宿坊も立派に戸締まり出来ました。
感謝のてんこ盛りです。
そしてまた来春、戸を開けるまでゆっくり休んで下さいな、山上喜蔵院さんよ。お疲れ様です。
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by tamashifull | 2011-10-12 23:01
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毎年8月2・3日、ふもとの洞川(どろかわ)では行者祭が行われる。
これは、今から1300年余り前、伊豆大島に流された役行者の冤罪が晴れ、弟子である後鬼の一族が棲む洞川へ戻られたのを村人たちが出迎え祝ったという言い伝えを再現した行事で、温泉街は多くの人々で賑わう。
3日の夜、山上から見下ろす洞川の町並みは赤々とした提灯の明かりを散りばめて、山合の漆黒の闇の中に煌々と浮かび上がっている。そしてその上にポッポッ…と火の華が咲くと夢幻の心地にしばし囚われて、ぼくはまた時空を越えてしまうのだ。

「おひさしぶりです」開け放した玄関を抜けて誰かが入って来た。杉笠をかぶり頬から顎にかけて髭を生やした長髪細身の人物が杖をついてニコニコほほえんでいる。
外は霧に煙っている。
「?」誰だっけ、この人…向かいの宿坊で働いていた…いや…
「ベンでーす」
「ベン!!どうしたの?今頃!?」
きょうは吉野から25キロの奥駈道を歩いて来たという。
彼はフランス人で2、3週間前のある昼下がり、ふらりとやって来たのだ。普通の日本語に英語交じりで話してくれて会話が弾んだ。
登山口で日本人の奥さんと8ヶ月の男の子が待っていてくれるという。
2年間暮らしたエクアドルで知り合い命を授かり日本に来て戸隠で結婚式、宮古島で誕生、屋久島に登り、九州、四国を経て、いざ紀伊半島へ。
「今までどこにいたの?東に行ったんじゃなかった?」
どうも奈良から和歌山へ大峯山系添いに南下し、行く先々での出会いを経てぐるっとまわり吉野山へたどり着いたそうな。
高野山、熊野古道、玉置、十津川、役行者が劍を埋めたと言われる場所…。そこは巨岩がゴロゴロと在り棚田の美しい光景が広がり青い山並みが遥か彼方まで続いていたと。
彼と話してるとお互い共通のニュアンスを持っているのを実感する。
シルバンもそうだけどこれを「たましふる」というのかも。
そして彼の飄々とした姿の向こうにはたくましくもおおらかな奥さんの笑顔が見える気がする。
2年後か5年後の再会を約束して小雨の中ベンを見送った。

その日の夕刻、物資運搬用ケーブルのある見通しの良い広場で護摩を焚く行事が執り行われた。
これは祭りの宵宮を迎える洞川に護摩の炎が見えて届くようにといつの頃からか始められたらしい。
大峯山寺と五つの宿坊の人たちが集まる。
この日は小雨交じりのせいかなかなか火勢が上がらない。
雨音に般若心行の声が唱和する。
気心の知れた宿坊暮らしの仲間たちも心なしか真剣な眼差しで中央のまだ小さな炎を見つめている。
やがて空気の通りが良くなったのか炎は勢いを増して龍の形を取り始めた。
それぞれの素直な祈りが飛翔してしかるべき時と場所を得て実りますように。

大峯山上豆知識
「護摩」
密教で仏の前で木を燃やして祈る儀式。修験道では主に不動明王の前で杉や檜を燃やして行う。
外で丸太(壇木)を組んで行う採(柴)燈護摩と壇(内)護摩がある。
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by tamashifull | 2011-08-10 21:07