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たましふる大峯~神崎士郎 なっしょのないしょ~

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一年の半分を奈良の世界遺産大峯山頂宿坊で暮らす写真家神崎士郎が綴る日々のあれこれ。見たこと見ないこと……。

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むこうくんは毎年、夏の終わり頃、登って来る、いつも夜が下りてくる手前の刻限に。落ち着いて見えるのにあわてている、そんな風だ。
出会ったのは岩の上、だったような気がする。その時は彼は山の他の宿坊に泊まっていた。夕焼けの時間に何となく話しかけたのだ…いや、違う。山の老人に紹介されたのだったか…。たそかれ時のように記憶はあいまいだ。来年会ったら、確認してみよう。彼はきっと覚えてくれているから。
彼は大峯奧駈道を何度かに分けて所々歩いていて 、その話から察する限りは、タフで、安定した物の捉え方を備えているように思える。
夜の山中の山小屋で剣法の修行者と出会したり、里で不思議な現象を体感しても、見える世界見えない世界を同等の視点で自然に認識しているようなところがある。安心感を与えてくれるというか。
なんかぼくとは縁があったのか、当時の彼はO県O市のO大に通っていた。現在は農業を営んでいて、地質学を学んだ。それは土壌研究の為というのではなく、地学には天文学が含まれていると思って、その学部を選んだそうな。でも残念ながら宛ははずれてしまったのだ。そういうわけで彼は鉱物には詳しい。
この大峯山系は歴史的に見て鉱物資源が豊富で、金・銀・磁鉄鋼・水銀・水晶等の鉱床が在ったと言われている。たまたまざくろ石の微粒の欠片をぼくが持っていたので、話は石から宮澤賢治へとおよんだ。賢治の言葉には鉱物の名前が時空を越えて至るところに散りばめられているから。そう言えば賢治は「石っこ賢さん」と呼ばれる位、鉱物好きだったのだ。…うん、むこうくんの中にはちょっぴり宮澤賢治が入っているな、と気づいたね。
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by tamashifull | 2012-09-19 16:39
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ぶぉーーーっ……。
大気の底から空気を持ち上げるように轟き渡る音。
宿坊の窓から覗いてみると、ひとりの山伏が法螺貝を吹きながら坂道をコロコロと下って来る。この辺では見かけない白と青の市松模様の装束姿。東北の羽黒修験では確かあんなチェックの衣着るよなあ…14、5年前に九州でも見たことあるけど…。
間も無く、音が止み、こちら側の石段を上って来る気配。玄関先に顔を出してみる。待つ…あっ、チェックがやって来た。止まった。
「お久し振りですっ」「えっ…!宮崎くんっ…うっわーっ宮崎くん」思わずハグ。
宮崎くんは、16年前、喜蔵院の当番の年、ここの大峯山寺で代僧として2シーズン務めてくれた。海千山千の大先輩たちに囲まれて頑張った。素朴な純粋さで闘っていた、ようにぼくには見えた。
ある時、彼は、休日を終えて山に帰って来る途中、雨に降られた。でも、カッパを持っていなかった。そして、やっと当宿坊の玄関に辿り着き、「神崎さーん!ただいまーっ!」との力いっぱいの声に出てみると、うわっ!!そこには、黒いゴミ袋から両手両足が生えたモノノケ小僧が力んだ笑みで立っていた。
その同じ玄関で再会した宮崎くんは、真っ黒なビニール袋から白青チェックの山伏装束に成長していたんだ。今回、彼は、ふもとの洞川で開催の修験学会に参加するために福岡からやって来た。九州北部には英彦山・求菩提山・宝満山(ひこさん・くぼてさん・ほうまんざん)等の修験の山が在り、対馬(つしま)・国東(くにさき)半島も含めて修験道の源流につながる場所かもしれない。
本山修験宗清龍院住職宮崎くんは、来た時のように法螺貝の音高らかに九州の地に向かって下って行った。山並みの上に海の青が見えた。

さて近付いて参りました『音楽幻燈会』。きょうは内容について簡単に紹介。
前半「アナクロとモクレン」は、ピアノ演奏と朗読とスライド上映のコラボに乗せて、ネコに化けたナガレボシと声無き声で詩を紡ぐ少女モクレンの交感の世界が、森羅万象とつながりながら広がります。
後半は、ピアノ演奏に続いて、ふたりの朗読者のカノンによる「あめつちのうた」。平安時代に生まれた、いろは歌の一語一語からイメージした言葉と写真で織り成す音楽詩を新たな演出でお送りします。
お問合わせ・チケット予約はTEL090‐5695‐7840(神崎)までご連絡下さい。間に合わない方には、当日券も多少用意しております。
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by tamashifull | 2012-09-14 11:54
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ぶぉーーーっ……。
大気の底から空気を持ち上げるように轟き渡る音。
宿坊の窓から覗いてみると、ひとりの山伏が法螺貝を吹きながら坂道をコロコロと下って来る。この辺では見かけない白と黒の市松模様の装束姿。東北の羽黒修験では確かあんなチェックの衣着るよなあ…14、5年前に九州でも見たことあるけど…。
間も無く、音が止み、こちら側の石段を上って来る気配。玄関先に顔を出してみる。待つ…あっ、チェックがやって来た。止まった。
「お久し振りですっ」「えっ…!宮崎くんっ…うっわーっ宮崎くん」思わずハグ。
宮崎くんは、16年前、喜蔵院の当番の年、ここの大峯山寺で代僧として2シーズン務めてくれた。海千山千の大先輩たちに囲まれて頑張った。素朴な純粋さで闘っていた、ようにぼくには見えた。
ある時、彼は、休日を終えて山に帰って来る途中、雨に降られた。でも、カッパを持っていなかった。そして、やっと当宿坊の玄関に辿り着き、「神崎さーん!ただいまーっ!」との力いっぱいの声に出てみると、うわっ!!そこには、黒いゴミ袋から両手両足が生えたモノノケ小僧が力んだ笑みで立っていた。
その同じ玄関で再会した宮崎くんは、真っ黒なビニール袋から白黒チェックの山伏装束に成長していたんだ。今回、彼は、ふもとの洞川で開催の修験学会に参加するために福岡からやって来た。九州北部には英彦山・求菩提山・宝満山(ひこさん・くぼてさん・ほうまんさん)等の修験の山が在り、対馬(つしま)・国東(くにさき)半島も含めて修験道の源流につながる場所かもしれない。
本山修験宗清龍院住職宮崎くんは、来た時のように法螺貝の音高らかに九州の地に向かって下って行った。山並みの上に海の青が見えた。

さて近付いて参りました『音楽幻燈会』。きょうは内容について簡単に紹介。
前半「アナクロとモクレン」は、ピアノ演奏と朗読とスライド上映のコラボに乗せて、ネコに化けたナガレボシと声無き声で詩を紡ぐ少女モクレンの交感の世界が、森羅万象とつながりながら広がります。
後半は、ピアノ演奏に続いて、ふたりの朗読者のカノンによる「あめつちのうた」。平安時代に生まれた、いろは歌の一語一語からイメージした言葉と写真で織り成す音楽詩を新たな演出でお送りします。
お問合わせ・チケット予約はTEL090‐5695‐7840(神崎)までご連絡下さい。間に合わない方には、当日券も多少用意しております。
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by tamashifull | 2012-09-13 00:27
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トリカブトの花が咲き始めてからひと月ほど経った。
今朝5時過ぎ、薄曇りの空の下、フシギくんは柏木に向かって発って行った。4、5時間の山歩きだ。
ここは大峯山宿坊喜蔵院。ぼくはその支配人。お寺の専門用語で「納所(なっしょ)」と呼ばれることが多い。
フシギくんは、開山期の五月から九月の間、毎月泊まりに来る。そして、険しい大峰山系の道を修行として歩いて、様々な場所へ行く。鈴懸(スズカケ)という山伏スタイルで。
数年前、彼が初めて大峯山へ登拝して来た時は、スーツに革靴、手には薄手の黒いカバンという出で立ちだった。帳場の上からその姿を目にしたぼくは、いささか戸惑ってしまった。確かに、白衣や山伏姿、登山服の人々で賑わう宿坊の中で、彼の存在は少し浮いていたかもしれない。
今思えば、それは彼なりの大峯山へ参拝するための正装だったのではという気がする。フシギくんは、初登拝を前に修験道や寺院・組織について綿密に調べた上で、自分で選択して言わば確信犯的に我が喜蔵院に入って来たのだから。
数年を経た今、そんな彼だからこそ修験道界の色んな軋轢を感じながらも真摯に前向きに楽しく行者道を歩いているように見える。でも、皆さんは決してフシギくんの真似をしてスーツで登山はしないように、非常にキケンですから。
お昼過ぎ、無事に柏木下りを終えたとの彼からの連絡があった。

さて、ここで「音楽幻燈会」のお知らせです。
スライド上映×ピアノ×朗読のコラボレーション『音楽幻燈会 あめつちのうた Visual Live』
スライド写真と言葉:神崎士郎
ピアノ:七ツ谷ゆみ
朗読:金盛千裕・久保田玲奈
演目:「アナクロとモクレン』休憩「あめつちのうた』
日時:9月16日(日)15:00
場所:遊美工房・岡山県倉敷市玉島中央町1丁目12‐30・TEL.090‐5378‐6675
料金:2,500円(当日3,000円)ワンドリンク付
*席に限りがございますのでご予約下さい。*お問合せ・チケット予約TEL090‐5695‐7840(神崎)
「数年振りの音楽幻燈会です。詩(うた)と物語とイメージがピアノと朗読の奏でであなたを新たな世界へ誘います。ぜひ遊びにいらして下さい。お待ちしています。」
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by tamashifull | 2012-09-10 00:05